教えて! goo には興味深い質問がなされることがある。
以下の問題が目にとまった。
「無理数の無理数乗が無理数になることがある」(※)という命題を、logを使わずに証明出来るでしょうか?
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/12582974.html
おやと思ったのは、無理数の無理数乗が無理数になることはむしろ「自然」でどちらかというと、次の問題設定の方がノントリビアルに感じる。
無理数の無理数乗が有理数になることがあるか?
これは面白い証明法を読んだことがあり、次のようなものだ。
\(\sqrt{2}^{\sqrt{2}}\)を考える。
これが有理数なら、無理数の無理数乗が有理数となる。
無理数だとすると、その\(\sqrt{2}\)乗(無理数乗)は\(\sqrt{2}\)の2乗となり、2、すなわち有理数となる。以上により、無理数の無理数乗が有理数となることがある(Q.E.D)。
もともとの\(\sqrt{2}\)の\(\sqrt{2}\)乗・\(\sqrt{2}^{\sqrt{2}}\)が「有理数か」「無理数か」決定せずに、結論がでるところがたいへん面白い。この話題は『数学セミナー』の記事で読んだ。どの号だかはわからない。
一方、最初の問題(※)も一見トリビアルに思えつつ、それほど明らかではない。そもそもlogを用いる証明というのはどのようなものだろう。 回答は8つほどついているが、やや「荒れている」印象である。logを用いない回答を求めており、第1の回答は、実数の濃度を用いるものであった。質問者からは「こんな素朴なことを示すのに実数の濃度なんて大袈裟なものを持ち出してくる必要があるのでしょうか?」とコメントされているが、そうではない。
(※)を示すには実例を一つあげればよいが、これがけっこう難しい。一番、簡単に思いつく\(\sqrt{2}^{\sqrt{2}}\)さえ、にわかに有理数か、無理数かわからないのだ。とすると、カントールの対角線論法的な思考に頼らざるを得ない。基本的に実数の濃度を持ち出す「ありものがたりさん」の方針を支持する。
その上で、私なりの解答を示すと以下。
無理数の無理数乗がすべて有理数になると仮定する。
すると無理数の無理数乗は、可算個である(例えば辞書的配列で順序よく並べられる)。
無理数乗の乗数の一つ、例えば\(\sqrt{2}\)を選ぶ。
全ての無理数の\(\sqrt{2}\)乗を選んで抜き出せば、それは可算個となる(順序よく並べられる)。
無理数が可算個となってしまった(順序よく並べられる)ので矛盾である。
少し考えたが(※)の証明をlogを使ってやるのは見当がつかず、上記集合論を使うしか思いつかない。そもそもカントールの対角線論法によって、表現できない超越数が数として膨大に存在することが証明されたのであった(2022/02/18)。
【追記】
\(\sqrt{2}^{\sqrt{2}}\)は超越数だという。本稿と同じ話題でtsujimotterさんが記事を書いている。
しかも超越数の判定法として「ゲルフォント=シュナイダーの定理」という定理があり、その系として示せるそうだ(2022/03/18)。