大学初年次、一般教養科目は4科目必修だった。人文学から2科目、社会科学から2科目(私は理科系)。
社会科学でとったのは法学と社会学。人文は国語と国文学。法学と社会学は超マスプロ授業。逆に国語と国文学は、少人数でゼミ並み。
国文学のテキストは三島由紀夫『近代能楽集』。新潮社版だったと思う。その中で特に「弱法師」。井上靖『補陀落渡海記』。
授業内容はともかく、強烈に印象が残っているのは、先生がオンシアター自由劇場の演劇『上海バンスキング』を「これまでみた最高の演劇、ぜひ見なさい」と絶賛されたことである。再演の機会にさっそく見にいった。役者が楽器を奏でる、オペラともミュージカルでもない音楽と芝居の組み合わせというジャンルが、私はとても好きになった。
授業で読んだ近代能楽集も、上演の機会がかなりある芝居なので気がつけば見にいくようにした。たまたま見た「近代能楽集」のメニューで、気に入った舞台に「源氏供養」がある(実は上演機会はほとんどない)。三島の台本を読みたいと思ったが・・。ところが「源氏供養」は文庫などにはなく、全集の1冊を買わねばならない(三島がこの作品を気に入らなかったようだ)。
もちろん、新本をお金を出せばすぐ買えるのだが、まぁそう急ぐこともあるまい。古本屋で気長に「気をつけていた」のだが、まったく出会わなかった。それをこのほど、めでたく出会って読んだ(全集23)。以上30年越し。30年越しの課題を学生にしかけた、というのはおそらく教養教育にとって理想なのだと思う。その先生とは、故・越智治雄先生である(2012/05)。